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2005年12月31日
ワサビの化石
今年もいよいよ大晦、振り返る感慨の間もなく朝からばたばたと大掃除を始めた。先ずは冷蔵庫を徹底的に綺麗にしてやろうと思い、中味を全て放り出した。すると真っ黒でカチカチ、紐状の得体の知れぬ物体が出てきた。これは何物ぞ!よ~く見ると何と昨年末に年越し蕎麦一式に添えられていたワサビが化石に成っていたのだ。これには我ながら驚いた。「男やもめにウジが湧く」というが、ウジならぬ化石化である。その後は棚や押入なども整理すると爽快な気分になった。午後は今年最後の岐阜城登山へと出掛け、3時半から開山や歴代の墓参り、6時は総茶礼と立て続けに行事、ほっと一息ついた。後6時間ほどで新年、何卒良いお年をお迎え下さい。
2005年12月28日
餅搗(もちつき)
今日は恒例の餅つきである。我々が雲水の頃は夜中の12時に起き、まず白的(白米のご飯のこと)を腹一杯食べる。典座の寮頭は徹夜で湯釜を沸かし皆が朝食を終わる頃には蒸籠から猛烈な勢いで蒸気が噴き出し、今や遅しと待ち構えている。朝食も早々に直ぐ臼の周りに3人杵を振り上げてつきだす。力任せにやるから石臼が踊り出すほどである。これを2つ並べて同時にやる。周囲の物は勢い付けに景気の良い声を張り上げて激励する。その賑やかなことといったらない。これを35,6臼つくので、お仕舞いの頃はもうへとへとになって、何がなにやら分からなくなってくる。夜が白々と明ける頃には全てつき終わり、最後の2臼はおろし餅にして皆で食べる。エネルギーの消耗も激しいから腹はぺこぺこで、搗きたても餅の美味しかったこと。その頃の若さ溢れる餅搗が懐かしく想い出される。
2005年12月25日
お豆腐屋さん
大雪の中、門前の豆腐屋夫婦がやってきた。今度目出度く家を新築するという。このお豆腐屋さんは夙に有名で、わざわざ遠方からもこの店の美味しい豆腐を買いにやってくるフアンが沢山居る。雲水を大変可愛がってくれて、豆腐や揚げをちょくちょく戴く。聞けば、毎日午前2時起床、店を閉めるのが夕方6時、ざっと16時間労働だそうだ。僧堂も朝は早いが、これには負けた。豆腐作りは単純で一見誰にでも出来そうだが、原材料の吟味は勿論のこと、その日の気温や湿度などでも味は微妙に変化し、美味しさを保つのもなかなか大変なのだという。禅の悟りも単純だが奥行きは深い。ちょっと豆腐と似てるな~、と思った。
2005年12月22日
無事円成
午前4時、臘八大接心(ろうはつおおぜっしん)は無事円成、ほっと一息ついた。ここ数年ずっと暖冬傾向でイマイチ臘八気分は出なかったが、今年は寒さ一段と厳しく連日雪が降り木枯らしが吹き抜け、手はかじかんでしくしく痛み思うように動かなくなった。これでこそ臘八である。大接心を終えた後の充実感は何にも代え難く、これはやった者でなければ分からぬ。今夜は冬至灯夜、一陽来福を祝って皆で夜通しどんちゃん騒ぎをする。こういう把住放行(はじゅうほうぎょう)を徹底するところがまた僧堂の魅力でもある。
2005年12月15日
臘八大接心(ろうはつおおぜっしん)
今朝は午前3時から行事が始まった。いよいよ天下分け目の大接心に突入。22日午前4時まで横に成らず座りっ切り。勿論食事(1日5回も食べる)の時やおしっこの時は中断するが、蒲団は取り上げられるし、もう坐るっきゃない。今年は例年になく寒さ厳しく、もってこいの良い状態になってきたので大いに喜んでいる。雲水でもこの臘八は大変だというのに、在家の者が一人参加している。ようやるわ!昔、雲水修行をしていた頃、臘八に雪が降り出すと師匠は声を張り上げ、「天からご馳走が降ってきた!」と叫んでいたのを想い出した。
2005年12月14日
把針灸治(はしんきゅうじ)
今日は嬉しい把針灸治、朝は午前6時までゆっくりと寝忘れ、外が明るくなってから目が覚めるというのも良いものだ。昨夜来の雪で庭は真っ白、空気も一段と冷えて身を切るようである。愛犬ハチ君と雪の中を転げ回るように散歩。昼頃は知人の葬儀に参列、90歳の長寿を保ち眠るような安らかな顔であった。数年前からこの老夫婦と仲良しになって一緒に旅行したりお酒の好きな方だったので何度かお相手もした。戦後大変なご苦労の末、一代で立派な会社を作り上げた立志伝中の人である。旅行中はいつも奥様のハンドバックを代わりに持って歩いていた優しい後ろ姿が目に浮かぶ。私とは30歳近くも年の離れた友達だが少しも違和感がなかった。本当に惜しい人を失った。
2005年12月13日
大忙し
一昨日は浜松のお寺へ落慶式、昨日は京都の本山妙心寺へ開山忌出頭、今日はうちでともしび会、奈良薬師寺の太胤さんの法話、夜は知人と会食、てなぐあいで超多忙、いささかお疲れ気味である。昨日来の雪は降り続き、夜になってまた一段と激しくあっという間に庭も道路も真っ白になった。気温もぐっと下がり日中も1度、夜になって零下に下がってきた。明朝は大四九で午前5時半まで寝忘れ、2週間ぶりに寝坊が出来る。明後日からはいよいよ臘八大接心、この大雪と寒波で良い修行が出来ると喜んでいる
2005年12月10日
ジビエの会
知人で多方面に活躍して居られる人が居て、今夜はその方主宰のジビエの会へ行く。これは山奥の鄙びた食堂で山の幸を満喫するというもの。川魚、猪、鹿、熊等々普段は凡そ戴くことのない珍しい物ばかり、また飲み物も日本酒を始めワイン、ウイスキー、焼酎など飲み放題、至れり尽くせり和気藹々の会である。わざわざ東京など遠方からも参加される。それだけの充分価値のあるユニークな催しである。主催者の人柄もあって40人くらいが好き勝手にわいわい騒ぐ年末恒例の楽しい会である。
2005年12月09日
成道会(じょうどうえ)
昨日はお釈迦様が2500年前、インドのブッダガヤでお悟りを開かれた記念すべき日である。特に僧堂ではこれを記念して1日から8日未明まで不眠不休の坐禅(うちでは15日から)をする。お釈迦様は8日朝、明星(金星)をご覧になった瞬間、「奇なるかな奇なるかな一切の衆生如来の智慧徳相を具有す、草木国土悉皆成仏」と叫ばれたそうである。今年2月、うちの座禅会、般若会一行15名、ブッダガヤの大塔前で早朝1時間の坐禅を組んできた。我々はとてもお釈迦様には遠く及ばないが、同じ場所でほぼ同時刻に坐禅を組むことが出来たのは無上の喜びであった。
2005年12月07日
山登り
このところ不安定な天候でお休みしていた山登を再開。残雪を踏みしめ木枯らしに吹かれながら岐阜城まで往復1時間半のミニ登山である。途中の岩場では滑り落ちないように細心の注意を払い汗を拭き拭き登った。両腿がびしびし痛み、一汗かいた後の爽快感が良い。1日1回は汗を出すというのが私の健康法。さらに毎朝雑巾掛けの後ストレッチ、腰痛体操、青竹踏みにぶら下がり健康機と続く。これだけやって病気したら世の笑いものだな~といつも思う。
2005年12月05日
高賀水
午後から高賀水を汲みに行った。途中山間部に差し掛かると猛烈な雪、普通タイヤだったのでひやひやもの。この水はご存じ、オリンピック女子マラソン金メダリスト高橋尚子さんが飲んで練習に励んだというもの。爾来評判が高くなり水を汲む人で行列が出来たほど。さすが今日はおばちゃんが一人居ただけで閑散。何事も直ぐに飛びつく性格の私にしては今日が初めてだから、年のせいで多少勢いが無くなってきたのかな~と思ってしまった。
2005年12月04日
ハチの下痢
昨夜急にハチが鳴き出し竹藪に連れて行くと酷い下痢、心なしか顔色もすぐれない。小雨の降る中、梅林公園方面に連れて行くといつものように道路に鼻をくっつけて歩く。これは何か食べものが落っこちていないかと、探すためである。ハチにこのがつがつが無くなったらお仕舞いだ。良く酒飲みが酒を飲まなくなったら終わりだと言うのと一緒である。今朝はうんちも正常に戻り安心した。健康のバロメーターはおしっことうんち、ハチが喋れたらいいのにな~といつも思う。
2005年12月01日
臘八(ろうはつ)
どこの僧堂も今日から臘八大接心に入る。うちは15日からなので、その準備のための小接心である。一週間を一日に見立てて横にならず坐禅を組み続ける。朦朧としてきて今日が何日目なのかさえ分からなくなる。一年間の修行の総決算で、皆死にもの狂いで頑張る。それにしてもこの暖かさは不味い。もっと木枯らしが吹き抜け小雪でも舞うようになれば良いのだが。うちの臘八は是非そうなって欲しいと願っている。