2006年03月31日
左手だけのピアニスト
或る雑誌で舘野泉氏の手記を読んだ。氏はフィンランドでのコンサート直後脳溢血で倒れ、右半身不随の大病から見事立ち直られ、左手だけのピアニストとして復活された経緯が克明に記されていた。文中「・・・音楽家に育った私にとってピアノは空気のような存在だった。ピアノこそが私と外界とを繋ぐ紐帯だった。聴衆の生の反応を感じ取り、又新たな音を奏でてゆく、それが私の人生の喜びだった。演奏活動に戻れない、それは私の人生の終わりを意味した。」「動ける範囲は狭まっても、左手だけの演奏になっても私の作る世界は変わらない。病を経て、私は演奏活動の原点に戻れた。音を奏でると、そこから光が少しずつ見えてくる。」その外にも沢山琴線に触れる言葉があった。こういうのを読むと心の底から勇気が湧いてくる。
投稿者 zuiryo : 2006年03月31日 19:42