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2007年10月31日

耳を澄ませば

この間の夜はバキバキメリメリとイノシシの物騒な音がしたが、それは珍しいことで大抵は、し~んと静まりかえった処から、虫の声が聞こえるという風情である。この季節は何時も、部屋は障子だけにして休むと、木の葉のかすかな音や虫の声、狸や野良猫がつくばいの水を飲むペチャペチャという音など聞こえて、まるで山奥の草庵に一人居る気分だ。この間新聞を読んでいたらこんな事が書いてあった。『テレビとラジオでは特性が異なる。例えば歌番組にしても、歌手が出てくるたびに、「老けたな~」とか「相変わらず派手だな~」などと、余計なことが気になって集中出来ない。で、目をつぶってみた。ものの数秒で歌に集中できたばかりか、その歌が流行っていた時代模様や、当時の自分までよみがえってきた。(途中略)某大学で教えていたころ、授業中の学生たちに5分間目を閉じて貰い、その間に気付いたことを全部書き出させたことがある。その一つ一つは彼ら自身の驚きと発見に満ちていて、体内の鼓動と生命の不思議や指のすきまを通る風まで書く学生もいた。現代人は視覚に頼りすぎだといわれる。時に目を閉じ、耳を澄ませば、呼び覚まされる感覚にハッとさせられることもあるのではなかろうか。』

投稿者 zuiryo : 2007年10月31日 11:04

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