2008年06月06日
美しい自然
以前、初秋のロンドンに滞在中、イギリス人の友人に、「紅葉狩り」に出掛けようじゃないか、と提案したところ、「紅葉を眺めてどうするんですか、そんなことの為にわざわざ出掛けるイギリス人は一人もおりません。」と言下に断られてしまった。外国の場合は日本のように植生が豊かでなく、黄色なら黄色一色の風景が延々と続く。それに比べて日本の山は、赤・橙・緑・黄色、あらゆる色が錦を成して、日光の当たり具合によって1本の木でも、様々な繊細な色合いを見せる。軒を連ねる屋根瓦の美しさ、雨上がりに婦人が日傘を差して歩くところなど、まるで絵のようだ。美しい自然に恵まれた日本だから、万葉集や源氏物語、奥の細道などの文学を生み出した。ところが経済成長最優先で、至るところ自然破壊、美しい田園を潰してきた。「天才は美しい環境が生む」という言葉があるそうだが、そうなると科学技術立国日本も衰える。美的感受性のない者に独創的アイディアは生まれない。
投稿者 zuiryo : 2008年06月06日 21:24