2009年06月02日
卓宗会
1日、2日、私の下で修行し、今はそれぞれ一山の和尚になっている連中が集まって懇親会を開いた。お世話頂いたのは北上市のT師、これがまた親切な男で、案内状も実に細かい配慮があり、当日の段取りも綿密そのもの、平生の住職振りが窺われる。到着するとあらかじめ頼んであったらしく、「三ケ尻鹿踊」(みかじりししおどり)を本堂前で見せてくれた。時折小雨混じりの生憎の天気だったが、運良くその時だけ雨が止んだ。太鼓を激しく打ち鳴らしながら、鹿の装束を着た8人が輪になって踊った。単調な動きだが、大地を揺るがすばかりの太鼓の音は、はらわたに染みいるようで、なかなか感動的だった。その後、嘗て修行中亡くなった同僚の雲水二人の供養のお経を上げ、皆で一服の茶を飲みながら久しぶりの再会を懐かしんだ。それから30分ほど車で移動して、花巻温泉の宿に到着、温泉にたっぷり浸かってから夕食、酒を酌み交わしながら昔話に花を咲かせた。何年経っても、僧堂在錫中の想い出は尽きないもので、その時は目くじら立てて怒鳴り散らしたことが、年月を経て風化して、今となってはお互い涙が出るほどの大笑いになった。月日が経つというのは、実に味わい深いものだと改めて感じた。翌日は宮沢賢治の記念館を訪れた。地元のボランティアの方をガイドに頼んでいてくれ、懇切丁寧な説明を拝聴し、良い勉強になった。近年特に宮沢賢治研究が盛んになり、説明を聞けば聞くほど、偉大な足跡に感銘を受けた。個人的には、「セロひきのゴーシュ」のアニメが大好きで、以前は良く心にぽかっと穴が空いたときには、繰り返しビデオを見たものだ。最後は花巻市内で名物「わんこ蕎麦」、仲間で一番は小田原のH師が105杯、店から横綱の証明書と手拭いまで貰った。因みに私は50杯でダウン、喉元まで蕎麦がせり上がってきた。しかしそれだけ食べても帰りの電車に乗った頃にはお腹が空いてきたのだから呆れる。こんな会下(えか)会だったが、久しぶりに心の底から楽しんだ。
投稿者 zuiryo : 2009年06月02日 20:53