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2009年08月17日

絵本

お盆中に雲水が信者さんへ棚経に行き、私へと絵本を頂いてきた。「奇跡の樹ーよみがえった大フジのおはなしー」。これは実話を元に描かれたもので、フジの巨木を大移動し、見事復活した物語である。美しい絵と美しい文章に心打たれた。以前にもある人から、絵本を頂いたことがあり、この時も感銘を受けた。大人の気取った文章などより、余程ダイレクトに心に染み入る。丁度小学3年生ぐらいまでの子供の描いた絵に、純で計らいのない良さを感ずるのに似ている。しかしこの本の絵も文章も、書いて居られるのは立派な大人である。何事でも言えることだが、どこかで肩書や地位などと言う厄介な荷物を背負っていると、文章の端々に、ちらちらと嫌みなところが透けて見え、うんざりさせられる。その点、この絵も文章も、共に作者の一切の計らいを捨てきって書かれているところが、一層共感を呼ぶのである。絵本は何も子供だけが読むためのものではない。大人も子供も一緒に楽しめるのである。以前、井上有一と言う書家のことがテレビで放映されたことがある。この人は専ら「貧」という字を書き続けた。この字の迫力のあること、ある高名な日本画家が、絶賛しておられた。書という形を越えて、書家の全人格が伝わってくる。究極のところは単純で明快で一陣の涼風が吹き抜け、しかも実に深みがあるのだ。

投稿者 zuiryo : 2009年08月17日 19:43

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