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2009年09月24日

白鼻心(はくびしん)

以前、白鼻心が本堂天井裏に棲みついて困ったことがあった。天井に巣を作り、そこで子供を生んだのである。当然糞尿もそこでやるから、ぽたりぽたりと、オシッコが滴り落ちるという事態となって、撃退作戦を開始した。先ずは天井裏に入り込めないように徹底的に穴塞ぎを試みた。しかしもうこれで完璧と思っても、広い本堂のどこからか進入口を見つけては、また巣作りを始めるというイタチごっこが続いた。ついにこの方法は諦めて、市役所に行って捕獲かごを借り、美味しそうな餌を中に入れて捕まえてやろうとした。しかしこれも駄目だった。白鼻心が入る前に野良猫が入ってしまうのである。隠寮の庭を白鼻心夫婦が堂々と闊歩し、木の枝伝いに屋根に登り、どこからか天井裏に入るのを何度も目撃した。体長数十センチ、長い尻尾まで入れると7,80センチはゆうにある大物である。毛色は黒褐色で、鼻に白い線がくっきりと入っていて、ここから名前がきているらしい。ついに万策尽きて、諦めたことがあった。その後どういう加減か、知らぬ間に天井裏から立ち去ってくれて、ほっと安堵の胸を撫で下ろした。ところがである、昨日、道具小屋裏手で白鼻心の子供発見(と言っても見つけたのは我々ではなく、我が愛犬ハチ君)。ハチは近年老齢化が進み、日中は殆ど爆睡状態で、側に行ってもグウグウ高いびきで寝ているのだが、そのハチが突如として雄叫びを挙げたかと思いきや、引き綱を引きちぎらんばかりに脱兎の如く突進、かのにっくき白鼻心の子供に食らいついたのだ。これには一同ビックリ仰天した。近頃足腰が弱って、時折腰砕けになったりするハチなのだが、人間の一万倍と言われる鼻力は全く衰えを見せず、この様な次第であった。ハチもただ食って寝ているだけではなく、野生の本能はまだまだ残っていたのである。褒美に餌を一掴み多めにやった。

投稿者 zuiryo : 2009年09月24日 19:29

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