2009年11月19日
紅葉
例年なら今頃が紅葉の真っ盛りで、隠寮の庭一面に、どうだんと紅葉が同時に真っ赤に色づき、自分一人で眺めているのは勿体ないな~、といつも思う。ところが今年は紅葉はまだまだ、いまだに青々と茂っている有様だ。定点観測で、毎年写真を撮り続けているが、これでは12月に入ってから、紅葉と言うことになりそうである。年々地球温暖化で、12月の臘八(ろうはつ)大接心も、こんな温かさではせっかくの大接心もイマイチ調子が出ぬ。寒苦というが、寒いのが修行には一番良い。以前、秋ロンドンに滞在した折、紅葉の季節だったので、友人に紅葉狩りに行こうと言ったところ、「はあ~っ!紅葉狩りって何ですか?」「紅葉を見て楽しむんだ!」「枯れた葉っぱに見て何処が良いんですか?」だと。唖然としたことがある。ところがNHK番組「クールジャパン」によれば、日本に滞在している外人の人気ナンバーワンは、この紅葉狩りと春の花見だそうだ。紅葉にしても赤や黄色や緑など、微妙に混ざり合って、それぞれが枯れ葉ではなく生きていて、艶があるところは実に美しいという評であった。な~るほど!確かにロンドンの紅葉は枯れ葉であった。これでは紅葉狩りというわけにはいかぬ。尤も、自然林の枯れ葉の紅葉もまた、これはこれで風情があって良いと思うのだが、どうも日本人とは情緒が違うようである。例えば夏の蝉の声なども単なる雑音としか聞かないらしい。だから、「しずかさや岩にしみ入る蝉の声」、この芭蕉の句の趣など、到底分かるまい。春夏秋冬、四季の微妙な移ろいを、膚で感じ、それを楽しむことが出来るのは幸せなことである。脳科学で言うと、左脳の中に右脳がめり込んでいるのが、日本人だそうだ。
クールジャパンでもう一つ面白かったのは、ウオッシュレットのトイレ、皆絶賛していた。確かに外国で五つ星ホテルに泊まっても、トイレは旧態然として、便座はひゃっこいし、ウオッシュレットではない。日本で開発された絶品と言うべきである。早く世界中のトイレがこれになればいいな~と思っている。
投稿者 zuiryo : 2009年11月19日 20:45