« 狸うずくまる | メイン | お礼参り »

2009年11月29日

バイト

近頃、大学生のバイトは大抵自分用に旅行や食事、その他趣味などに使うらしいが、せっせと一部を親に差し出しているというけなげな学生もいる。毎月一定額親を出していたのだが、ある時、たまたま収入が少なかったので、いつもの半額に減らしたら、途端に食事を半分に減らされたと、苦笑いしていた。どういう家庭の事情か定かでないので、勝手なことは言えないが、兵量責めはないだろうと感じた。俗にも、食い物の恨みは祟るというが、この恨みは心のどこかに必ず残って、何かの時に表面に現れるだろうと察せられる。僧堂では「食平等(じきびょうどう)」と言う言葉がある。10年以上修行したベテランも、入門したての新米でも、食事は絶対に差別しないと言う決まりがある。もう数十年前になるが、小僧をしていたとき、ちょっとした茶菓で、あからさまな差別をされたことがある。あの時の恨みを今尚鮮明に覚えている。兎も角食い物の差別は絶対いけない。尤も、私は生来意地が汚い男だから、(これはどういう訳か確実に愛犬ハチ君にも受け継がれている)普通以上に執念深く思うのかも知れない。現在は物が豊富に溢れかえっている時代だから、昔のようなことはないかも知れない。つい先日も僧堂の茶菓は充分あるか聞いたところ、有り過ぎて、尼僧堂へどんどん食べて貰っておりますと言う。私が雲水の頃、たまに老師のところからお菓子のお下がりがあると、大抵カビまるけの饅頭だった。「こんなもの食べられるんですかね~。」と言ったら、油でからっと揚げて、つまり饅頭の唐揚げ、「こうすれば結構旨いぞ!」と言われ、「へえ~!」と驚いた。お茶の菓子と言えば、いつも沢庵の千切りだったから、カビまるけの饅頭でも充分贅沢だったのである。

投稿者 zuiryo : 2009年11月29日 16:45

コメント