2009年12月08日
葛根湯医者
落語の「代脈」をご存知だろうか。このまくらに江戸時代の医者の話が出てくる。その頃は現在のように、医師の資格が制度として確立されていない時代だから、随分いい加減な医者もあったようだ。俗に葛根湯医者と言われ、頭痛・腹痛・胃のもたれ、はては付き添いで来た人にまで、「さぞ退屈だったでしょうと」と、全て薬の処方は葛根湯で済ましてしまうと言う、無茶な話が出てくる。或いは「でも医者」というのもあって、他にすることがないから医者にでもなろうか、「そうおしよ、父上の道具も残ってることだから。」と母親も勧めるという話し。いずれも落語だから話半分に聞かなければならないが、いずれにしても今では考えられないようなことである。さて、いつもお世話になっている皮膚科のお医者さんがある。3週間前頃から、右目の下に妙な痣のようなものが、もっこりふくれて出来た。痛くも痒くもないのだが、目立つ場所と言うこともあり、気になりだした。もしや皮膚癌かも知れない。万事心配性の私のことだから、早速いつもの医者へ出掛け診て貰った。先生は大きな虫眼鏡で、そのもっこりあざを見て、「庭掃除でもした時、木の枝で擦ったんじゃ~ないですか。」「いいえ、私は庭掃除はしません。」「そうですか、横に擦ったような傷がありますよ。」多分、私は顔を洗うときは、タオルに石けんを付けて、まるで足を洗うようにごしごし思いっ切り擦る。ために傷が付いたと思われる。しかしこのもっこり変色はそれ以前の問題で、どうも先生の見立てに不満である。「じゃ~いつもの薬で良いでしょう。」これは私の頭やその他、全てこのチューブ入り軟膏で、一切済ませており、今回もこれで良いという。ふっと葛根湯医者が浮かんだ。ところで、愛犬ハチだが、どうもわたしに似たのか、やたら皮膚が弱く、直ぐ肉球におできが出来る。その時塗る軟膏が、何と私の頭に塗ってるのと同じ軟膏なのだ。つまり私の頭とハチの足が一緒と言うこと。と言うことはこの軟膏、万能薬なのか。江戸時代も現在もあんまり変わってないな~。尤も、葛根湯は今でも風邪薬のコーナーに置いてあるから、実に寿命の長い特効薬なのだろう。
投稿者 zuiryo : 2009年12月08日 10:33