2010年01月30日
美濃佛国
今日も用事で出掛けた折り、丁度総門前で老夫婦が遙か彼方の本堂に向かって深々と頭を下げて祈っている姿を眼にした。こういう場面は良くある事で、岐阜で長く住んでいると当たり前なのだが、考えてみると、ここの人達は本当に信心深いと思わずにはいられない。私が街中でちょっと佇んでいても、行き交う人は皆決して前を横切らず、わざわざ後ろを通って行く。こう言うのを見るに付けても美濃の国の人達の長い伝統に支えられた仏教信仰の深さを感ずる。つい最近もこういう事があった。山内寺院で、瑞龍寺中興の祖、隠山禅師の関係寺院で、現在は廃寺同然のお寺から大涅槃図が寄進された。縦横1間半以上はある大きな物で、然も画像の保存状態も究めて良く、素晴らしいものであった。いろいろな経緯からずっと在家の方が保持しておられたのだが、矢張りこういう物はお寺で守って貰った方が良いというので、今回の寄進となったわけである。畳の上で広げて見たときは画像の素晴らしさに目を奪われて気が付かなかったのだが、本堂中央に掛けてみたら、軸の芯が先ず落ち、裏うちも相当傷んでいる。早速表具師を呼んで修理について相談すると、完璧にやると三百数十万円はかかるという。これには驚き、ちょっと待って貰った。何だったらカーマへ行ってのりを買ってきて、雲水にでも張らせたら安く付くかなとも思ったが、そんな無謀な事は止めて下さいと言う話しだったので思いとどまった。兎も角こういう有り難い寄進なので、施主家の気持ちも考えて、大切に保存しなければならないと思った次第。しかしお金の要ることである。
投稿者 zuiryo : 2010年01月30日 20:09