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2010年04月16日

欧米の違い

先日ヨーロッパで活躍している高名な歌手のライブをテレビで放映されていたので見た。1日目はアメリカのラスベガスで催されたもの、2日目はウイーンのサンステファン大聖堂で催されたものであった。多少選曲に違うところもあったが、殆ど同じようなもので、この二つの映像を見比べながら、ヨーロッパとアメリカに、甚だしい違いがあることに気が付いた。ラスベガスの方は舞台の設えから照明、歌手の衣裳、化粧に至るまで、ど派手、これぞアメリカ!と言わんばかりであった。一方ウイーンの方は会場は大聖堂、何本もの灯明に照らされ、歌手の衣裳もグット落ち着いた色調で、また観客もミサの時座る長いすに整然と腰掛け、真冬の厳しい寒さの中、殆ど黒尽くめにマフラーという格好である。歌われる曲目も断然こちらの方がぴったりした感じであった。また歌手の雰囲気や歌い方にも、心が籠もっているように見えた。元来ヨーロッパ出身の人だから当然なのかも知れないが、此処で感じたのはアメリカとヨーロッパの気質の違いである。日本では何となく十把一絡げで、欧米などと言うが、全然違う。個人的に言えば矢張り落ち着いてシックなヨーロッパスタイルの方が共感できる。一方アメリカだが、金に物言わせて、札びらで横っ面張り倒すような雰囲気はどうも馴染めない。サブプライムローンに端を発した世界恐慌も、今その張本人の連中はまたぞろ金まみれになってガッポガッポと稼いでいるそうだ。そのために世界中の人がどれだけ酷い目にあったか知れないのにだ。アメリカの最大の欠点は手を油で汚して一生懸命物作りをし、その労働の対価でつつましく生活するという生き方をかなぐり捨て、お金でお金を稼ぐ方法を考え出し、額に汗することを捨てたことにある。彼らの考え出した金融とは限りなく詐欺に近いものであり、法律に触れなければ何をしても良いではないかという論理である。こういう生き方に精神の気高さなど微塵もない。コンサートの話しから飛んだところへいってしまったが、二つのテレビ画面を見ながら、ふとこんなことが頭を巡ったのである。

投稿者 zuiryo : 2010年04月16日 19:59

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