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2010年06月02日
土地の境界
お寺では市内各所に点々と貸し地がある。最近そのうちの一つが、先方さんの都合で戻ってきた。長らく住んで居た方が家庭の事情で家が不要になったので、取り壊しお寺に返却するというわけである。そこで更地になった跡を、次ぎにどうするかであるが、土地を管理している会社に相談したところ、駐車場にするのが良いでしょうということになった。整地し舗装してラインを引き、貸し駐車場にするための建設会社も決まり、いよいよ工事が始まった。ところが東側のお宅との境界で、双方の主張に違いが出てきて困っているので、和尚さん立ち会って下さいというので出掛けた。先方は80歳近くのお婆さんで、いろいろ話し合った結果、一応双方納得した境界が決まった。すると管理会社の社員が、大きな物差しを境界に置き、鉄の棒を建て、私とそのお婆さんがお互いの土地に立って写真を撮るという。これが今後の証拠になるのだそうだ。カンカン照りの中、ぶすっと突っ立っていたら、和尚さんもお婆さんもにっこり微笑んで下さいというのだ。何故だ!と言うと、この境界でお互い結構ですという意思表示が大切で、その為には笑わなければいけないのだそうだ。その説明を聞いて私は思わず笑ってしまった。その瞬間パチッとシャッターを切った。まったくもう、土地の境界の話しになると、いずこも目くじら立てて言い争いになる。私はお寺の土地を引き継いでいるだけで、別に個人の所有物ではないので、あっさりしたものだが、一般の人ではそう言うわけにはいかない。たった5センチ10センチのために、何日もかかることがある。今日の場合は比較的直ぐに決まって良かった。これが国境線の場合なら、間違えば戦争にまでなることもあるわけだから、笑ってられない。気温28度の猛暑の中、無事に済んでやれやれであった。
投稿者 zuiryo : 2010年06月02日 13:39