2010年08月17日
新聞少年
少し前までは、新聞配達と言えば少年の姿をよく見かけた。家計を助けるためや学費のために稼ぐ良いバイトだったのだ。ところが現在殆ど見かけなくなった。私はほぼ毎日午前4時過ぎからハチの散歩に出掛ける。歩くコースも殆ど同じなので、必ず新聞配達の人達と行き交う。その大半が40代から60代のおばちゃん達である。自転車に新聞を満載して、捻り鉢巻きも勇ましく、猛烈な勢いで走り去って行く。まあ、その元気なことと言ったない。中には乗用車で老夫婦が新聞配達している。私が小学生の頃、昭和20年代、ど田舎だったから、当時自家用車と言えば町長さんかお医者さんくらいなものだった。新聞配達は、専ら肩からたすき掛けをして、新聞の束を括り、元気よく走っていたものである。その頃、友達が、「アメリカでは新聞配達を乗用車でするんだぞ!」と言うのを聞いて、目を丸くしたことがある。国産車さえなかった時代で、車と言えばアメリカ車かフランスのルノーやオースチンだった。つまり贅沢の極みだったのだ。そんな時代に新聞配達を車でするなんぞと言うのは、考えられないことだった。だから目の前で老夫婦が車で新聞配達をしているのを見て、数十年前の事を想い出したのである。ところで山間僻地ならいざ知らず、市内のど真ん中の新聞配達に車とは、如何なものかと疑問に感じた。お見受けしたところご夫婦共に70代くらいだから、自転車も覚束ないのかも知れない。と成ると車なら何とかなるわけで、これなら雨降りの日でもへっちゃらだから、なかなかよく考えたものである。ところで、新聞配達ならぬ、猫餌配達のお爺さんが居るのは、困ったものである。自転車の前の籠に猫の餌を一杯入れて、あっちこっちに置いて行く。するとその辺りの猫どもが、待ってましたと群がり寄って来る。雨でも降ろうものなら余った餌が融けて腐敗し、悪臭を放つ。そんな始末はそのおじさんは見向きもせず、相変わらず毎日仕事のようにして配る。どこかの将棋の名人が同じようなことをやって非難されていたが、私も大反対である。野良猫が可愛いそうだと思うなら、責任を持って家で飼うべきで、いいとこ取りでは駄目だ。うちのハチももとは野良犬だった。それを飼って既に16年になるが、動物一匹飼うのも楽じゃない。可愛そうだからそれだけの労を惜しまず、死ぬまで責任を持って飼うのである。
投稿者 zuiryo : 2010年08月17日 11:22