2010年08月20日
老い
最近、黒井千次の「老いるということ」を読んだ。まっ、要するに老年になったからと言ってガックリ来るな!と言うことがいろいろな例を引いて書いてある。逆に暴走しがちな若者より、年寄りの方がずっと良いぞ、と言うわけだ。しかしこれを読んでいてますますガックリ来た。幾ら言い訳したって若い方が良いに決まっている。負け惜しみも良いところだ。ところで今朝例によって早朝ハチの散歩に出掛け、いつもの通り元気よく帰ってきた。お寺に戻ると必ず隠寮の庭を一巡し、つくばいの水を飲んで、杉苔の上で腹這いになり、前足を後ろに曲げて鼻の頭をごしごし擦りつけしばしくつろぐ、これがいつものパターンである。それから台所の小屋まで戻り、一掴みドッグフードを食べさせるのだが、丁度黒い野良猫が近くを通ったらしく、いきなり外へ飛び出した瞬間腰が抜けた。両手両足を広げたまま立てなくなってしまったのだ。食い物には眼がないハチもドッグフードをちらつかせても腹這いのまま動けない。仕方ないので鼻先に餌を思って行くと腹這いのまま何とか食べた。これは困ったことになったものだ。腰の辺りを指圧したりさすったりしたが、痛がるわけでもなく、兎も角そのままで動けなくなったのだ。次の行事が差し迫っていたので、取り敢えずそのままにして置いた。40分後、一息付いたところで覗いてみると、何とすっくと立ち上がって歩き出したではないか。ほっと安堵の胸を撫で下ろした。近年は階段の登り降りなど、旨くできなくなっていたので、腰が悪いとは察していたのだが、ハチも遂に老化が顕著になってきた。人間ならさしずめ杖でもついて歩くところだろうが、ハチはそう言うわけにもゆかぬ。朝晩の散歩の時以外は日中殆ど横になってこんこんと眠っている。近くに行くと必ず足にまとわりついた頃のことが無性に懐かしくなった。私も老化傾向だが、ハチはもっと老化が激しく、お爺さんになったんだな~としみじみ思う。
投稿者 zuiryo : 2010年08月20日 03:21