2010年09月21日
滝行20年
先日2泊3日、御嶽3合目新滝へ行ってきた。平成3年5月8日、第1回目の滝行以来、今年で丁度20年になる。滝は特に頭を激しく撃つ行なので、仲間とも相談してこの辺が潮時ではないかと言うことになった。毎年7,8人の仲間と一緒に続けてきたのだが、ほぼみんな20年になるのでこの際一斉に卒業式にした。1日目・2日目は最後の滝行、3日目は場所を開田高原の温泉宿に変えて打ち上げ祝賀会である。さて20年間で一番思い出深いのは、第1回目である。5月上旬とは言え、前日小雪が舞うほどの寒さの中、然も午後5時過ぎで、真っ暗闇の滝に撃たれた。山道から10分ほど登ったところに滝はある。辺りは鬱蒼とした森林に覆われ、落差30数メートルの水が激しく岩に当たって、辺り一面水しぶきに覆われている。水温は5,6度、冷たいなんて云うものではない。ちょっと飛沫が掛かっただけでも身を切るほどである。滝の直下の周辺に佇むだけでも、頭を鉄のたがでギリギリと締め上げられるような痛さで、体は寒さで硬直し、平衡感覚が失われ、まるで自分の体ではないようになった。私は生憎2,3日前に酷い腰痛に襲われ、金剛杖に寄りかかるような状態で出掛けたのだから、もう無茶苦茶だった。そんな最悪な滝行だったが、不思議に心は爽やかで、何とも言葉では表現できない不思議な魅力に取り憑かれてしまった。爾来毎年2回、ずっと続けてきた。この間良き仲間と、まるで兄弟のような交友が持てたのは、何より得難き副産物であった。私は平生、寺の中に閉じ籠もって生活しているので、滝行仲間は一層有り難く幸せなことだった。2日目朝の滝でいよいよこれで最後、ちょっと冷たかったが、出てから濡れた体を拭い着物を着てほっと一息付いたとき、ジ~ンと心の奥の深みから沸き上がってくる心地良さは、何にも代えがたいものであった。よくぞこの20年間一度の事故もなく無事に円成出来たものである。佛天の加護に感謝した。
投稿者 zuiryo : 2010年09月21日 19:47