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2010年11月15日
もぐら
以前猪が庭に侵入して掘り返し、ミミズを食べに来ると言う話しをしたが、モグラも地中を掘り進み、同様にミミズを食べにやって来る。猪はまるで鍬で掘り返したように荒らし回るが、モグラの方は地下鉄のようなもので、表面には出てこないので猪よりはましである。ところが地下ばかりなら良いのだが、どういう訳か高さと幅が1尺ほどの小山を幾つも作って行く。それが庭中到るところにぽこぽこ出来るから、特に杉苔の部分は甚だ見苦しい。聞くところに依ると、風車を回して地面を震動させるとモグラが寄ってこないという話しである。早速日曜大工店に行くと、もぐら撃退風車を売っていた。細い棒の頭に木製の風車が付いていて、ガラガラと風で回ると、それなりに地面が震動する。五基ほど庭に立てたところ、効果抜群、爾来モグラの小山はなくなった。ところが喜んでいたのも束の間、ちゃちな板の風車のため、雨風にしばらく晒されていたら、忽ちぼろぼろになって、風で吹っ飛ばされた。そこで今度は、ペットボトルを利用した手製の風車を作った。当時高専出の雲水が、わざわざ図書館に通い製造方法を学び、忠実に作ったものである。ところがどういう訳か、この風車幾ら風が吹いても一向に回らない。どんなにいい加減な作りでも、風が吹けば少しは回るのが普通だと思うのだが、これは強風が吹いても回らない不思議な風車だった。思うに、彼は絶対回らない風車を精巧に作ったわけで、物理的には素晴らしい作品だと思うが、モグラ撃退という目的には全く用を為さない。すぐに片付けて捨ててしまいたいところだが、ペンキまで塗った立派な風車だったから、彼の労を讃えてずっとそのままにして置いた。何年かしてこの雲水が自坊に帰山したのを機に片づけた。爾来何もせずにそのままにして置いたのだが、近頃また小山がぽこぽこ出来はじめた。今度は余り工作が得意でない雲水に作らせたら、きっとぐるぐる回る高性能の風車が出来るに違いないと思っている。
投稿者 zuiryo : 2010年11月15日 11:01