2011年04月11日
七五三
七五三と言えば、毎年11月中旬、神社で小さな子がお祝いをする行事だが、私は今年11月下旬に七五三茶事と小宴を催すことにした。数え年で70歳・僧堂掛搭50年・師家30年、以上を合わせて七五三、語呂が良いので、この際お祝い仕様じゃないかと勧められ、やることにしたのだ。私は小さい頃の本当の七五三祝いなど、貧乏だったし、両親は商売で忙しかったから、そんな余裕もなく過ぎてしまった。それが六十数年も経て、形を変えて一度に祝おうという企画である。大の信者さんが一生懸命になってくれて、実現する運びになったので、有り難いことである。そこで先ず茶事の、茶道具組みをしなければならないわけで、これが結構大変なのである。第1回打合会は既に昨年11月にやり、今回は2回目、現物を見ながら検討に入った。例えば茶杓は「ふたふし」と言う銘のもの、通常一節の茶杓に二節有り、節の間が七五三の割合になっている。まっ、こういう風にいちいち道具を選び、全体としてバランス良く、しかも品格の高い組み合わせを考えるもので、つまりお茶事全体のプロデュースである。茶道具は広げたり仕舞ったりに手が掛かる。どれも四百年位前のモノだから、包んである布類も古く、油断していると直ぐ破れるから、相当神経を使う。終わったらへとへとになってしまった。その後、会場にお願いした神社に行き現場で人の流れや、当日の時間帯では薄暗くなる頃なので路地に明かりをともすこと、また二組に分かれるので前の組の方々が待っている間の接待など、こと細かく決めた。その足で小宴に実際出す料理の試食会、何事もこのくらい綿密にやらなければ良い会は催せないわけである。近頃はお祝い会と言えば直ぐに料理屋さんかホテルで宴会というのが多いが、先ず茶室でお濃い茶を一服召しあがって頂き、(この時お出しするお菓子もこっちでデザインしたものを菓子屋に特別製で作ってもらう)、然る後小宴という段取りである。本来茶室での亭主役は本人がお茶を点てて差し上げるものだが、今回は弟子の和尚でお茶に通じている者に点てさせ、私は脇で道具類の解説をするだけにした。それにしても当日しつらえた茶道具の説明をしなければならないので、そのレクチャーを受けたのである。というようなわけで、終日みっちり道具の勉強をしたというわけである。
投稿者 zuiryo : 2011年04月11日 21:20