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2011年09月15日

本の出版

12年前にある出版社から勧められて本を出した。おもに僧堂で修行時代に感じたことなどを綴った。これは一般書店で売りに出されたのだが、勿論日本国中広く発売されたというわけではなく、主に岐阜の知人で書店を手広くやっている方のご好意で店頭の一番目立つところに飾って頂いたのがせめてもの慰めと言う程のものだった。実際にどれだけ売れたのか解らないが、頂けるはずの印税が全く音沙汰無く、どうしたのかな~と思っていたら、風の便りに、突然社長と専務が夜逃げして姿をくらまし、倒産したという話を聞いた。だから言ったじゃないの!私のようなものの本を出しましょうなんて言うのが、そもそも怪しいのだ。まっ、五百冊ほど買い取って、信者さん達に差し上げられたので、私の方に実害はなかった。またこの本を東京の書店で、或るNHKのディレクターが見つけ、是非詳しい話しをお聞かせ下さいとやってきたことがあった。この時のインタビューがラジオで放送されたと言うこともあった。最近、残部数冊になって、時折あの本まだありませんかと言われることがあるので、パソコンでアマゾンを検索し、有ったら買おうと調べたら有った。新刊本は既に無く、(これは当たり前で、大した部数を発売したわけでもないのだから)古本が何冊か売りに出されていた。新刊の時の価格が二千円なのに、古本価格はたったの112円だった。ガ~ン!缶ジュース1本にも足らぬ値段である。気を取り直し、何冊か自分の本を買ったという次第。そんな折また本の出版話が出てきた。こちらの話しは出版社からではなく、最初から自主出版して、人に差し上げたら如何でしょうかということなので、お寺に来られた方々に差し上げるのに良いかなと思って作ることにした。内容は相変わらず大したものではないのだが、日本画家の土屋禮一さんが、挿絵を描いてくださると言う光栄を蒙り、その他沢山の方々のご厚情により間もなく出来上がる。この本は売りに出すわけではないので、古本112円ショックには成らない。何事か事を起こすと、予想もしなかった有り難い事が連鎖反応のように次々に出現して、改めて感謝している次第である。

投稿者 zuiryo : 2011年09月15日 15:27

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