2011年10月30日
母の写真
この間郷里の弟から突然母の写真を送ってきた。1枚は父との結婚式の記念写真、もう1枚は20代ころの若い頃のスナップであった。だいたい父と母はいつ結婚したのかさえ聞いていない。多分大正の終わり頃だと思うのだが、勿論白黒写真で、ともかく私の知らない頃の写真だから、何だか妙な気分である。めちゃくちゃ若い。きっと弟は偶然出てきた両親の写真に驚いて、兄はお坊さんだから内仏にでも飾って貰えば朝晩お経を上げてもらえるし、何よりの供養になると思ったのだろう。その通り仏壇に飾りお茶湯を供え毎日お経を上げている。経中じっとこの写真に向き合っていると、その頃父と母はどんな思いで日々暮らしていたのだろうかと想像し、わけもなく胸に迫るものがある。私には子供も孫もいないわけだが、死んだら誰が思い出してくれるのだろうか。まっ、所詮すべては無に帰するのだし、今でも何もないのだから、世俗の情などとるに足らぬこと。私自身はさばさばしてるつもりだが、両親の写真をこうして見せつけられると、無性に会いたいな~と思う。昔ある老師さんが、両親を亡くしたとき、これから自分は孤児(みなしご)になったんだな~と思いましたと、仰っておられたことがある。すべてを捨てきった禅僧がなんと女々しいことを云うものかと、当時若気の至りで思ったことだが、いやいやどうしてどうして、父と母のことは別ですね。自分が年老いてくるといっそう恋しく思うものです。
投稿者 zuiryo : 2011年10月30日 20:50