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2011年12月14日
明日から臘八
臘八(ろうはつ)は大抵12月1日からなのだが、どういう訳かうちは15日からである。地球温暖化故か、12月初旬は結構ぽかぽか陽気で、これでは臘八も台無しだから、この15日からと言うのはなかなか良い。不思議に12月中頃は寒くなる。修行にはこの寒さがご馳走である。寒さを堪えるため思わず歯を食いしばるから、中頃から歯が浮いてきて困ったことを思い出す。午後8時のご開鉢の茶がゆの旨いことといったらない。手がかじかんで箸がうまく掴めないので、しばらくお椀の暖かみで手のしびれを取ってから食べ始める。舌がやけどしそうなほど熱い茶粥を一口呑み込むと、五臓六腑が沸き立つように温かくなる。極楽とはこのことかと思う。先日あなたにとって幸福とは何ですかと尋ねられた。「臘八の茶がゆ!」と答えた。よく言われることだが、仲良しの二人がいて、ある時一方がオートバイを買って歩いている自分を追い越した。自分自身の条件は全く変わらないのに途端に不幸になる。そこで何くそ!と、もう一方が車を買った。すると今度はオートバイの方が不幸になる。こんなことの繰り返しでは、本当の幸せはいつまで経ってもやってこない。「足るを知る」と言うことなのだが、これは言うほど簡単なことではない。昔インドの快楽主義者がたどり着いた究極の快楽は、苦しむことだったと言う。一見矛盾した話のようだが、苦しみの極みの一歩先に、幸せが潜んでいるのである。これは体験した者なら誰でも解る。苦楽は紙の裏表なのである。
投稿者 zuiryo : 2011年12月14日 18:56