2012年01月25日
クオリティーオブライフ
足腰ガタガタ心臓ガタガタになったので、中国鍼灸医の先生に意気消沈ですわと言ったら、クオリティーオブライフで過ごしなさいと言われた。「先生それって何ですか?」とお尋ねすると、「その人がそれで良いと思えるような生活の質」を保つことだと言う。病気や加齢によって生活に制約が出来たり、苦痛を伴ったり、その人らしく生活が出来なくなってしまうことがある。そんな時そのガタガタを当然のこととして引き受け、その中で折り合いを付けて上手に不完全な自分と付き合って行く。物事の根本原因を敢えて追求せず、現れた現象に沿って緩やかなケアーをして行く。人間誰でも老化によって心身が衰えてくるのだが、何時までも昔のイメージが残っていて、現実とのギャップに苦しむ。こんなはずじゃなかったのに!そんな時は、古くなって傾いた家を根本的に建て直そうなどと考えず、傾いたまま、立て付けの悪くなった戸障子はちょっと修理してすきま風が入り込まないように手直しして使って行く。万事これでゆくことがクオリティーオブライフという意味だそうだ。西洋医学は病気の根本を追求して元から直そうとする。つまり病気と徹底的に闘って行くやり方だが、東洋医学は病気と決して喧嘩しない。病気によって現れた苦痛を緩やかに沈め取り除く方法である。これによって本人の生活の質を落とさないことを考えるのである。これに反して抗ガン剤治療などはその典型で、激しい副作用により苦しみ、延命効果はそれほどでもない場合、果たしてそれが治療法といえるのか。次々に新薬が開発されそのたびに画期的と騒がれても、投与した人と投与しない人の生存の差はほとんど無いという。つまり生活の質を下げてまでも僅かな延命をはかっても、それが本当に幸せと言えるのかと疑問を持つ。私のような門外漢がこんな事を言うと、日々ガン研究に懸命になっておられる多くの研究者に申し訳ないと思うが、しかしこれが今日の現実である。さらなる研究の進歩を期待しながら、クオリティーオブライフで生きてゆきたいと私は思っている。
投稿者 zuiryo : 2012年01月25日 21:08