2012年03月26日
居士(こじ)
僧堂には昔から居士さんというのがいて、長い者では1年2年と雲水と一緒の生活をしながら修行をする。もう60年以上も前にうちの僧堂で居士をしていた方が孫娘を連れてやって来た。このお孫さん大変優秀な人で、奈良女子大を出てこの春岐阜市役所に就職できたという。住まいは岐阜から30キロ以上も遠く離れたところなので、いずれは市内に下宿して勤めると言うことになるだろうが、大切な娘さんなので親御さんは心配で、当面は遠路通うらしい。そこで今後何かとお世話になるかも知れないのでと、ご両親共々やって来たというわけである。嘗て居士をやっていた方は既に90歳になるが、数十年も昔のことなのに、当時の雲水の名前を言っては、あんなこともあったこんなこともあったと、懐かしげに話してくれた。会社を定年退職してからは、年頭の挨拶から始まって、うちのお寺のいろいろな行事に必ずお手伝いに来て呉れて、随分助けて貰った。僧堂修行というのは雲水は勿論だが、居士さんにとっても、忘れがたく心に染みこむもののようだ。改めて僧堂修行の懐の深さを再認識させられた。ところで昨年私は七五三のお祝いをしたのだが、地元の新聞に載ったのを見たらしく、わざわざご丁寧に祝儀を持ってこられた。引き物と言ってもお菓子のたぐいはもう無いので、その他の物を差し上げた。90歳になってもなお身体も頭もしゃきっとしておられたのには驚かされた。
投稿者 zuiryo : 2012年03月26日 21:22