2012年04月29日
土屋禮一展
昨日は大垣市の「スイトピヤ20周年記念・土屋禮一展」の開場式に行ってきた。土屋先生はうちの本堂の障壁画を奉納して頂いた方で、今回も上間の間の「瑞龍図」をお貸しして展示した。10時からの開場式には地元の方々や日本画家など遠近より沢山来られ、先生の評判の高さを垣間見る思いであった。又同時に絵本作家の奥さんの絵も沢山展示され、これが又大変面白い作品ばかりで、大いに楽しませて頂いた。サドルにTシャツを着せた「サドル犬」・蛙の膨大な数の収集品を様々に組み合わされた作品等々、どれもユニークで、いかにも奥さんらしくて、ほほえましい限りであった。市長さんや先生と用意された昼食をご一緒した後、午後1時から先生と熊崎先生の対談があった。この中で土屋先生の話が我々の禅に、ぴったり添っていたのには、改めて驚かされた。桜の堂々たる古木に、僅かに花びらが描いてある作品と、曲がりくねった椿の老木に小さな真っ赤な花が描いてある、この二つの作品には特に心惹かれた。どちらも描かれた老木は一応存在するというのだが、出来上がったものは現実のものとは全く違って、それぞれの老木に込められた土屋先生の心の表現だという。先生が最も敬愛する恩師と一緒に雪の中を歩いたとき、ついに最後まで先生のお陰ですと言えずに別れたことがあるそうだ。お礼の一言も言えずついに亡くなられてしまってから、はらはらと舞う雪を見ると先生の顔が浮かび、自分にとって雪は先生の形見ですと言っておられた。また少年の頃、父親に背いて独りぽっち原っぱに寝ころんで見たときの雲は、父親の化身ですとも言っておられた。この世のものはことごとく自分の心の現れですと断言されていた。これらは全く禅そのもので、芸術の世界も究めた人というのは、図らずも禅に符合するのだということを知り、我が意を得たりの思いであった。
投稿者 zuiryo : 2012年04月29日 20:49