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2012年05月07日
「ふたふし」の茶杓
昨年11月、70歳50年30年で七五三になるところから、坐禅会員を中心に皆で祝って呉れた。茶事では筆頭の総代さんが道具類をすべて整えて下さった。その時使った茶杓の銘が「ふたふし」と言うもので、茶杓に二つ節があるものだった。お茶がひと当たりまわったところで道具類の拝見となり、会員の中の一人が茶杓に虫食いの穴が開いており、それが良い景色になっていると指摘した。「良くお気づきになりましたね~!」と言うと、「私の商売は虫を退治することで、日頃から虫食いの穴には特に注意しておりますので、それですぐ気が付きました」と仰った。「な~るほど!」。その時頭にピ~ンときた。かねてから本堂障壁画が虫に食われて白い斑点となり原因が分からず困り果てていたので、早速その話をして、「一度見に来て下さいませんか」、とお願いした。その場で快く承諾してくれた。間もなくお寺にやってきて本堂を調査、畳の下に敷いてある防虫シートが原因でそれをエサにした虫が下から這い上がって、墨に混ぜてあるニカワを食べるために紙を食べたと言うことが解った。虫の沸くのは少し温かくなってからですからその頃改めて調査に参りますと言うことだった。それが昨日、社長さんと責任者の方がやってきて、本格的に調査し虫を特定し、防虫対策を施すことになった。しかも費用はすべて寄付させていただきますと言う有り難い申し出である。これもその方が坐禅会員だったこと、七五三茶事に参加されたこと、道具拝見でふたふしに丁度虫食いの穴があったこと、これらすべてがどんぴしゃり合った故である。世の中は何とも不思議なことが起こるものである。
投稿者 zuiryo : 2012年05月07日 21:26