2012年07月18日
消費税
またまた新聞のコラムからの引用で恐縮だが、大変興味深く読んだのでご紹介する。「増税の前にやるべきことがある」。消費税の増税が議論されると増税反対の政治家が必ず言う言葉である。では先にやるべきこととは何か。国会議員の歳費を含む公務員の賃金カット、特別会計の埋蔵金没収、政府資産の売却。やりたければやっても良いが、やらなければならないことは別にあるのではないか。ドイツと日本を比べて、どちらが財政事情が悪いかは言うまでもない。格付け会社はドイツ国債を最上級とする一方、日本国債はそれより3段階低い。そのドイツで年金支給開始年齢を65歳から67歳へと段階的に引き上げつつある。日本でもやらないと年金制度がうまく回らなくなりそうだが、国民の反発をおそれ踏み切れずにいる。元財務事務次官・日銀副総裁を歴任した武藤敏郎氏は次のようなことを言っている。少子高齢化が急速に進んで、社会保障制度を崩壊させないためには高齢者向けの給付削減が不可避だ。「所得代替率」で考えると良い。所得代替率は年金や医療などの給付額がその時点での現役世代の平均賃金の何割かを示す。その適正水準を考える作業が必要になっている。今現役世代の一人あたりの所得は320万円、社会保障給付費は250万円、所得代替率は78パーセント、約8割だ。これを維持してゆくと、税と保険料を合わせた国民負担率は現状で38パーセントなのが、50年度には68パーセントになる。給料の7割を国家に召し上げられる。55パーセント程度で済ますにはと逆算すると(ドイツが今53パーセント)所得代替率は56パーセントということになる。つまり今から約3割、社会保障給付を削減する必要がある。消費税率を10パーセントにするのは社会保障制度を維持するための第一歩でしかない。その後今のような社会保障水準を続けるなら、消費税は24パーセント以上に上げないといけなくなる。だが社会保障を切り下げれば10数パーセントで済むだろう。その議論をしなければならない。と説明した後、武藤さんがつぶやいた。「年金の3割引は分かるが、医療給付の3割引って何だろう?風邪ぐらいなら、布団をかぶって寝ていろと言うことかな」。この文章を読んで直ぐ感じたのは、政治家が言う増税の前にやるべきことがあるというのは、だから今増税なんかしなくて良いんだというニュアンスにうけとられがちだが、先にやるべきことは、医療費の大幅削減など、お年寄りには辛いことや、消費税は10パーセントどころか20数パーセントに上げろと言うことになる。こういう事実にはほっかぶりして、足らない分は国債発行して借金して賄っておけば、後は野となれ山となれだ。こういう無責任極まりない政治家を支持する人がいまだに多くいると言うことは全く嘆かわしい限りである。
投稿者 zuiryo : 2012年07月18日 16:40