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2013年02月05日
講演
先日ある和尚さんから頼まれて講演に行った。ホテルの大きなホールに200人ほど企業の経営者が集まった会であった。私は人前で喋るのが大の苦手で、なるべくお断りしているのだが、今回はいろいろ事情があって仕方なくお引き受けした。何とか責めを果たしほっと一息ついた頃、主催者の方から当日講演を録音したCDが送られてきた。仕事をしながら聞くとも無く聞いているうちに、あまりの酷さに我ながら唖然とした。それは話の内容がどうと言うことではなく私の話しぶりが酷いのだ。誰でも慣れない会場で沢山の人を前に喋るのはテンションが上がるものだが、上がり過ぎというか、自分で聞いていて恥ずかしくて居たたまれなくなる程なのだ。この様子をどう言ったら解って貰えるか旨く言えないが、兎も角もう二度と人前で喋るのは止めようと思った。瑞龍寺に住職して早や31年目に成り、その間頻繁ではないが何度か講演に出かけたことがあった。今まで自分の講演を録音して聞くことは一度も無かったので、聴衆の立場になったことがなかった。ところが図らずもCDで聞く羽目になり、その酷さに驚き、穴があったら入りたい気持ちになったのだ。人には得手不得手がるから、人前での話がへたくそだからと言って人格まで否定されるわけでもないので、気にするなと言われるかもしれないが、へたっぴーより上手い方が良いに決まってる。毎月本堂で市内のご婦人方にお話を聞いて頂くく会を催している。以前は良く奈良薬師寺の和尚さん方に来て頂き話をして貰った。末席で私も拝聴するのだが、落ち着いた話しぶり、説得力のある内容、時に軽妙洒脱なユーモアーも交え、何とこの人達は上手なのかほとほと感心する。日頃から慣れていると言うこともあるのかも知れないが、爪の垢でも煎じて飲みたいくらいだ。そう言ってる側から今日はこの話の会の当番で1時間半話をしなくては成らなくなった。失敗を繰り返さないため、碧巌録という禅書をプリントして講義調でやり、何とか攻めをしのいだというわけである。どうしたらあなた達のように喋れるようになるのか教えて欲しいと聞いたことがある。禅宗の方は難しい事を言おうとするからいけないので、日常何の変哲も無い事柄を取り上げて仏教に繋げて行けば良いのですと言われた。なるほど!しかしこれがなかなか難しいのだ。
投稿者 zuiryo : 2013年02月05日 13:06