2013年02月20日
真冬の風鈴
昨年の夏頃、友人に初孫が誕生した。お祝に可愛らしい赤ん坊の絵を色紙に描いて差し上げたところ、お返しに風鈴を頂いた。金物で出来ていて揺らしてみたら何とも涼しげな音色が心地よかった。早速部屋の軒先に吊し、これからは毎日この音色を聞きながら酷暑を乗り切れるな~と喜んだ。ところがそれから以降この風鈴、全く音がしないのだ。結構良い風が通り抜けているにも拘わらず、下にぶら下がっている短冊状の紙がゆらりともしないのだ。やがて秋が来て冬が来て年を越した。もうこの風鈴は見限って、はずして片付けるのも止めそのままほったらかした。それがどういう訳かここに来て急に涼しげな音色を響かせるではないか。季節外れも良いところである。確かに寒風吹き抜ける時期だから吊り下げてあれば成るのは当たり前だが、それならどうして夏の風が吹き抜けていた時に鳴らなかったんだ!と風鈴野郎に文句の一つも言いたくなる。かくなるうえは、この寒さに更に寒々しい季節外れの風鈴の音を聞き続けてやろうと覚悟を決めた。雪見酒ならぬ雪聞き風鈴である。
投稿者 zuiryo : 2013年02月20日 15:10