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2014年03月25日

ラファエル前派展

もう20数年も前になるが、当時ロンドンの友人が小さな禅堂で坐禅会を始めた。爾来毎年8月制間に1週間ほど指導に出掛けた。坐禅会が終わると市内の博物館や美術館を案内してくれる。彼は美術、工芸に大変造詣が深く、親切に説明してくれるので、私にはそれが楽しみの一つになった。あるときテート美術館へ行ったとき、ジョン・エバント・ミレーの「両親の家のキリスト」という絵についていろいろ説明してくれた。恥ずかしながらイエスのお父さんが大工だったことをその時初めて知った。中央に大きな板のような物があって、仕事中にイエスが怪我をして血がしたたり落ちている。マリヤがイエスの手を握って頬ずりをし心配そうな顔をしている、右端の子供(イエスの友達)の目がイエスの手に注がれている。こういう瞬間を描いたものである。これはつとに有名な絵だそうで、後イエスが張り付けになることを暗示しているのだそうだ。中でも特に右端の子供の目が独特で、友人と二人で賑やかにお喋りをしていた。普通なら注意されるところだが、テート美術館の中は殆ど人は居らず、大らかなものである。次ぎに「オフィーリヤ」を見ながら、又何も知らない私のために友人がいろいろ説明をしてくれた。しばらくすると老婦人が話しかけてきた。彼女はアメリカから来たのだそうで、老いた両親を連れてイギリス旅行をしている最中だという。我々二人が絵を前にしていかにも楽しそうにしている姿がとても良かったと、声を掛けてきたのだ。今回その思い出の絵が二つとも六本木ヒルズの森美術館に来ているので、懐かしくなって出掛けた。二つとも絵そのものも良いが、昔を思い出して無性に懐かしくなった。しかし田舎者が大東京へ出掛けると、地下鉄は反対方向のに乗るし、方角が分からなくなったり、やたら駅員に尋ねたりで、大汗掻いて、もうへとへとになって帰った。

投稿者 zuiryo : 2014年03月25日 16:05

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