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2014年10月28日
ハクビシン(白鼻心)
最近隠寮の天井にハクビシンがどこからか入り込みオシッコをしたため、天井にシミがついた。朝茶礼中にもトコトコ歩き回っている。ジャコウネコ科の哺乳類だそうで、鼻に真っ白な線がくっきりと通って、尻尾が矢鱈大きく長く、全長は1メートルくらいになる。こいつが天井を徘徊しオシッコをするのだから、たまったものではない。早速業者に頼んでまずは天井の状況を見て貰うと、オシッコは1ケ所のみで、他には被害はないという。通り道に罠を仕掛けて捕獲するという。しかし何日経っても捕まらない。そこで入り込みそうな隙間を全て埋めて貰った。一応今のところそれで収まったようだが、油断も隙もない。聞いてみると山内のお寺にもこのハクビシン天井を駆け回っていたそうで、仕掛けた檻に入ってついに御用、焼却処分となったらしい。少々可哀想な気もするが、害獣には違いない。ただ庭を駆け回っているだけならいいのだが、天井に巣を作ったり子供まで産むらしい。実に困ったものだ。猪は庭を駆け回るし、リスは楓の表皮を食い荒らすし、ハクビシンはこのありさま、山間部のお寺は風情があって良いのだが、こういう困ったことも出てくる。一番始末が良いのは狸だ。側溝に常駐しているが、時々出てきてつくばいの水を飲むくらいで、ほかに悪さはしない。顔も愛敬があって、あの遠慮がちな態度が良い。私は狸が断然好きになった。俗にも「たぬき和尚」なんて言うではないか。
2014年10月25日
脳の不思議
3年前、ひょんな事から自分が睡眠時無呼吸症であることを発見、爾来寝るときはいつも強制的に気道を広げる機器を装着して寝る。人は、煩わしいでしょう!と言うが、それが何ともない。むしろ実に心地よいのである。耳鼻咽喉科で一晩検査入院して、無呼吸状態がどの程度なのかを調べたところ、超重症であることが判明、なんと1分4秒も呼吸が止まっている事が解った。そんな状態で人間は死なないのですかと尋ねると、絶対に死にませんと医者から言われ安堵した。何故と問うと、それは脳が反応して強制的に酸素を血液中に送るからだという。そのとき脳の不思議な働きに驚き、睡眠時の脳はどうなっているのか調べてみた。そもそも人間は何故眠るのか?ひとくちに睡眠と入っても、レム睡眠とノンレム睡眠がある。それぞれ働きが違う。レム睡眠は殆ど覚醒状態に似ており、ノンレム睡眠は記憶の強化と言われている。簡単にいうと、脳は使いすぎるとオーバーヒートするので、不要な働きを一度アイドリング状態にするのだそうだ。丁度店を改装するとき一端営業中止するのと同じである。だから眠るというのは非常に重要な役割を果たしているのである。何だか居眠りばかりしているとサボっているように見られがちだが、これからは胸を張って、目下新装開店前の準備中で~す!と言ってやったらいい。何でもそうだが使いすぎると、破綻する。脳も同様で、無駄を省いて整理整頓する必要があるから眠るのである。眠るのも目下勉強中なのである。まだまだ調べれば調べるほど興味が湧いてくる話で、脳の世界は誠に面白い。
2014年10月20日
汝、我らの中に語る声を聞け
大いなる沈黙へ、について、何だか見ているのが飽きちゃったと書いたが、ときおり画面の下にテロップで短い文章が出てくる。その中で、これは良い言葉だと思って、暗闇の中メモ帳に書いて置いたのが、表題にした言葉である。徹底的に内省して行く果てに、我らの中にある声を聞くことができるようになる。これは修道院生活でなくとも、禅の修行道場で毎晩遅くまで睡魔と闘いながら夜坐をくみ続けると、ある瞬間、これはむしろ声というより、ストン!と、おさまりの良いフィーリングを得ることがある。ともかく満たされた感じになるのだ。具体的にそれがどういうものなのかその時は解らないが、日常のあらゆる場面でソフトタッチになるのである。道元禅師の言う「柔軟心」なのだろうかと思ったことがある。我々の日常はあまりにも外へ心が向き過ぎている。そこからは本当の自分は見えてこないのだ。
2014年10月18日
大いなる沈黙へ
フランスアルプス山脈に建つグランドシャルトルーズ修道院の道士達の日々の生活を自然光だけでナレーションもなく、たんたんと映し出して行く約2時間半のドキュメンタリー映画である。殆どお喋りすることもなく、厳しい戒律の中、質素な部屋・食事・日々の祈りを繰り返す様子がずっと映し出されて行く。初めのうちは興味津々で見ていたが、30分、1時間と経つうちに、だんだん興味が失せていった。カトリックについて基礎的な知識がある国の人には特別な気持ちで見続けることができるのかも知れないが、正直言って私は途中で飽きてしまった。前の座席の男性もぐったりきていたようで、私と同じだな~と感じた。2時間半もの長時間、全く説明一つないのは如何なものかと感じた。この撮影の許可を得るのに二十数年も根気よく待って漸く実現したのだそうだが、その執念には頭が下がるものの、これをそのまま一般公開しても、意思が通じなければ駄目である。こういう私の見方は幼稚で、専門家からは「阿呆!」と言われるかも知れないが、これが正直な感想。皆さんも是非一度ご覧になって、私とはまた違った見方をされるかも知れないので、お出かけ下さい。
2014年10月16日
生き生き長寿の秘訣
百歳以上でなお溌剌と生きている老人を専門医が調査したところ、いろいろなことが解ってきたらしい。私も最近72歳の誕生日を迎えて、余命8年だな~と思ったが(男の平均寿命が80歳だから)、何となく寂しいような、ほっとしたような妙な気分になった。老いさらばえて周りから迷惑顔をされ、無為にタダ日々を過ごすような老後なら、そう生きている価値もなさそうだし、やっぱり「ピンピンコロリ」だな~。しかしそうでもなさそうだ。伴侶を亡くし、周囲から親しい友人も亡くなり、何にも良いことないように思えるが、日々感謝しなが「ありがたい、ありがたい」と言う気持ちで過ごし、そのように実行する生き方なら、無為に過ごす人生ではなくなるようである。つまり心掛け次第で肉体的には衰えても、精神は決して衰えることはないのだというわけである。実際にその生き方をして居られる長寿の方を拝見して、改めて目を覚まされる思いになった。
2014年10月14日
パソコン故障
昨日またまたパソコンが故障して、修理に出掛けた。若いお兄さんだったので大丈夫かしらと不安になったが、目の前でこちょこちょ操作しているうちに直った。しかも親切にいろいろアドバイスをしてくれて、料金はタダ。申しわけなくなった。このために結構な時間を費やしたのだから。パソコンは常によりよく進化させなければならないものだそうで、丁度人間の健康診断で、悪い個所をチェックするのと同じだそうだ。よく見ると最初の画面にコンピュータアップグレードと言う項目があった。これでしばしばチェックしておかなければならないと教えて貰った。そんなこと、このパソコンを買ってから一度もやったことがなかった。常に完全無欠はないもので、ユーザーから不完全な個所を指摘され、その度に修正して行くものだそうだ。私の場合はワープロ機能・ニュースを読むことくらいで、ほんの一部しか使っていないから、余り気が付かないのである。機器が精密になればなるほど、トラブルも多くなってくるようで、何だか現代社会の縮図を見るようだ。
2014年10月12日
開山忌
⒓日は伊深の開山忌で、早朝より出掛けてきた。初めてこの開山忌にぺっぺけぺーで参加してから54年経った。年月を経て境内の雰囲気も大分変わってきたが、しかしまだまだ其処此処に、昔のままの姿が残っていて、いつ来ても懐かしさで一杯になる。自分の人生の大半、関わってきた場所だから、その時その時の出来事と重なって、無性に懐かしくなるのだ。瑞龍寺で、時々発行している寺便りに、雲水時代の僧堂諸行事を連載しているのだが、どの事柄をとっても次々に思い出が沸き上がってきて、もう63話になるのだが、ネタ切れになることはない。雲水修行は世間と違って修行以外には何もないところだから、自分の全人生が籠もっているのである。掛け替えのない貴重な経験をさせて貰った、私の一生の財産である。
2014年10月11日
カラスの糞
どこの都市でもカラス公害には手を焼いている。岐阜市も同様で、対策に苦慮している。あの悪魔のような鳴き声もさることながら、糞公害は酷いものである。私は早朝散歩を日課にしているが、アスファルト舗装の道路にカラスの白い糞が猛烈に落ちている。上を見上げると何十羽というカラスが電線に一列に並んで休んでいる。それが一羽ずつポトリポトリと糞を落とすので、道路が真っ白になるわけである。汚いと言うこともあるが大体衛生上良くない。そんな下をうっかり通ろうものなら頭に糞を落とされひどいことになる。だから歩くときは常に下を見て白いところは避ける。電力会社も住民から抗議があるらしく、玄関出入り口などは一番上の線にとげとげの針がついている特殊なものを使い防いでいる。しかし全てこうなっているわけではないので、いたるところ道路はカラスの糞で真っ白になる。うちの寺は後ろが山になっているので、夕方は特に集まり場所になっているらしく、団体で押し寄せてくる。亡きハチの墓前にお供え物をしても、相い向かいの電線にカラスがとまっていて、あっという間にくわえて持ち去る。器まで一緒に持ち去り、屋根の棟に乗っかっている。取りに登るわけにも行かず風に吹かれて転がり落ち来るのを待つしかしょうがないと言う次第。カラスにも言い分があるのかも知れないが、ほとほと困っている。またカラスは矢鱈頭が良い。よ~く顔を見ると実に賢そうな顔をしている。東京でもカラス公害には手を焼いているらしく、カラスをひっ捕まえて、東京名物「カラスパイ」を売り出そうという話を聞いたことがある。全国各地でカラスを使った名産品を競争したら良いんじゃないかと思う。古来信州の一部地域ではカラス料理があると聞いたことがあるので、この話結構いけるのではないか。
2014年10月06日
大型台風襲来
5日、6日は開山毎歳忌法要で、そのために二ヶ月くらい前から境内樹木の剪定、草引き、つくばいの石洗い、障子の張り替え、本堂前の白砂の模様書き等々、連日遅くまで作務の明け暮れだった。全て整い、来客を待つばかりと言うところに、何と間の悪いことか、大型台風が来るという。進路予想や時刻がどんぴしゃり法要の真っ最中ではないか。これには参った。まっ、なるようになれだ!と腹をくくってのぞんだら、これがまた何と言うことか、朝のうちに通り過ぎて、法要の時刻はからりと晴れ上がり、涼しい風が吹き抜け、実に気持ちの良い日和になった。最悪覚悟が最良の日になった。お陰様で今年も無事に終わり、今本堂や典座辺の後片付けをしている。ただし京都の本山関係の方々は、新幹線が止まったために、急遽欠席となり残念だったが、自然には逆らえない。ともかく無事円成で目出度し目出度しである。