2015年12月06日
骨董商
友人に長らく骨董商を営んでいる人が居る。営むと言っても,店を構えて手広く商売をしているというのではなく、極めてこじんまりと、彼の鑑識眼に適った良い物をコツコツ買い溜め、お金が必要になったとき少しずつ売って行くというやり方である。私はどちらかというと,骨董品など何処にそんな価値があるのか?と疑ってかかる方なので、余り彼の話も真剣に聞くと言うことはない。しかし中に上等な物もあり、彼の説明に思わず引き込まれることもたまにある。そんな程度だが、最近オークションで大変高価に売れたそうだ。いくら儲かったかは知らないが、お金の額よりも,彼の高い目が素晴らしい。それも独力で養っていったのだから、尚素晴らしい。遙か昔、貧乏所帯でその日の糧にも困っていた頃、ポートベローの隅っこのトイレの出入り口に,三尺四方のスペースを確保して、たった一点オランダの陶器を置いて,じ~っと待ち続けていた話を聞いたことがある。その頃はガラクタの中から彼の鑑識眼で掘り出し物を見つけ、それを売って何とか生活の糧を得ていたという。それやこれやいろいろ想い出されて、今度のことは涙が出るほど嬉しかった。
投稿者 zuiryo : 2015年12月06日 17:11