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2016年01月23日

苦寒

暖冬の冬も、さすがこの頃は、朝は毎日マイナス1,2度になり、指先がジンジンする。と言っても雲水の頃に比べれば、今の私の生活など暖かい部屋で、温かい恰好で過ごさせて貰っているので、申し訳ないと思うくらいである。冬になると必ず雲水の頃を想い出す。伊深は山間部にあって、岐阜市内より又一段と寒さは厳しかった。着る物も今よりずっと薄物で、暖房は朝の一時、木子屋で焚き火をして暖を取るだけ、後はひたすら寒さに耐え忍んだ。板の間を素足で歩くのは特に冷たく、まるで針のむしろの上を歩いているようだった。その痛さといったらない。その上あかぎれで、正月過ぎのお供えの餅みたいに幾筋もひび割れて、廊下に転々と血の跡がついた。今は白足袋を履き、あかぎれも無く、全く贅沢この上なしだ。ピ~ンと引き締まった本堂で大きな声を揃えて詠むお経は本当に良い。こういう毎日を過ごさせて貰えるのは僧堂なればこそで、師家になった御利益だと思っている。

投稿者 zuiryo : 2016年01月23日 03:47

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