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2016年04月26日

栄三・東一記念展

栄三・東一記念美術館で両先生の百年の節目と開館25年を記念して特別展が催された。久しぶりに沢山の方々にお会いでき、楽しい一時を過ごすことが出来た。その折偶然立ち話で、土屋禮一先生の大好きな映画の話を聞いた。丁度、小津安二郎監督の「秋日和」「彼岸花」などの名作がデジタル復刻で放送されている。それを見た直後だったので、先生の話に大変興味が湧いた。小津安二郎監督の映画では、どの一画面にもムダは一切ないそうだ。全て綿密に作られていて、例えば画面の後ろの方を、をたまたま行き来する役者にも、あなたは嘗て裕福だったが今は落ちぶれた人の歩き方・別の人には大変幸せな人の歩き方・不幸のど真ん中に居る人の歩き方・また嘗ては不幸せだったが今は幸せな生活をしている人の歩き方等々、主役の背後を何気なく通り過ぎる役者にも一人一人全て指示したそうである。このようにどの画面も全て計算し尽くされてできているというのである。映画1本がどのくらいのカット数で出来上がっているか知らないが、この綿密さがあって小津安二郎監督の名作は出来上がっていると言う。いずれの世界も、想像を絶する緻密な作業の積み重ねがあって初めて、人を感動させることができるのである。

投稿者 zuiryo : 2016年04月26日 21:26

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