2016年07月02日
捨閉閣抛(しゃへいかくほう)
余り耳慣れない言葉だが、法然上人の考えを簡略にまとめた言葉である。雑行を捨て、閉じ・閣(さしおき)・抛(なげる)ことで、ことごとく捨てて捨てて、もうこれ以上何も捨てられないというところまで捨てることを意味する。これは現代音楽の作曲家武満徹がいたった究極の境地である。この人の考え方の根本を読んでいくと、まるで禅そのもので、よく禅は諸道に通ずというが、全くその通りだと言うことを再認識した。エローラ寺院群を見て、芥川也寸志が釘付けに成ったのも、この捨閉閣抛である。これをもし法然上人がお聞きになったら何とおっしゃるだろうか。で、今年のお中元のお礼色紙にはこの言葉を書いて差し上げることにした。現代の宗門は全くこの反対でしょう。出来るだけ間口は広げオープンなるを良しとし、あらゆる分野にマルチに手を伸ばし、人を押しのけても前に出て、衆生済度という金看板を背負って、雑行に邁進、何処かちょっと違うんじゃないかと思うのだが、或いはこう考える私の方が間違いなのかも知れない。
投稿者 zuiryo : 2016年07月02日 21:18