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2017年01月18日

空気

必要不可欠なのに普段はその存在を完全に忘れているものの代表格は空気である。水もそれに近い。しかしその存在価値を忘れがちなのは、雨が多く国土の80%を山林が覆い、水田稲作を発達させてきたこの大地は、保水能力が極めて高く世界でも希に見るほど豊かで清らかな水に恵まれているからである。お金などを在るに任せて無駄遣いするのを「湯水のように」と表現するが、砂漠の民ベドウィン族にこの慣用句を文字通りに訳して聞かせたら、「大切に惜しみ惜しみ」の意味に受け取る。湯水のようにの意味を「砂のように」と彼らは言うらしい。さて空気は極端なほど自己主張しない。地球を包むこの気体が無ければ地表は灼熱の太陽が容赦なく降り注ぎ凄まじい光と熱に直接さらされる。雨も雪も風も存在しなくなる。それより何より呼吸が出来なくなるのだから人間どころかあらゆる生物は存在できなくなる。しかしその価値を実感できるのは水と同様不足や不在によってである。高い山に登ったり海で溺れかけたりしたときだけである。その存在を感じさせてくれるのは風である。何故風に翻弄される景色は見飽きないのだろう。つつましくけなげに地球の生命を根幹から支えている空気が、時に凶暴に自己をアピールする姿を確認する充足感なのかも知れない。

投稿者 zuiryo : 2017年01月18日 19:52

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