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2017年07月20日

フェルメールの絵

フェルメールの絵は時間が止まっている。ただ止まっているのではなく、その絵を見ることで、そこに描かれた瞬間の前にどんな時間が流れていたかを察し、その瞬間の後に何が起こるかを想像することができる。実はこれは科学がやって来たことで、この世のあらゆる物質は絶えず変化し、このことを記述しようとすれば、一時的にでも時間を止め、対象を隅々まで観察する。フェルメールはこうした分析を絵の中で行った。フェルメールの生きた時代は、数学者は微分法を発見した。微分法とは動いているものや移ろいゆく時間を止めて、過去と未来を提示する。移ろいゆくものを止めて見るというのは、フェルメールだけではなく、17世紀の科学者、数学者、生物学者がこぞって試みた。彼らは同じものを異なる側面から眺めようとしたのである。フェルメールが描くのも、実にありふれたシーンで、キッチンで女性が牛乳を注いだり、手紙を読んでいたり。そこで大切なことは、今あるものの中で何を保ち、何を捨てるかで、これはとても難しく切実な問題である。すべてのものは流転しているのですから。

投稿者 zuiryo : 2017年07月20日 13:42

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