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2017年08月09日
平和祈願像
いつも山歩きをする登り口に台座が約2メートルほど、その上に天を仰ぎ見る少女の像がある。これが平和祈願の像である。台座の裏側に刻まれた文字を読むと、昭和20年8月7日、豊川工廠に学徒動員で勤労奉仕していた少女約1500人が、米国の爆撃を受けて全員死亡した。あと1週間早く終戦になっていればこれらの少女達の命は助かったのだ。私が岐阜へやって来た35年ほど前、この像の横から山登りをしていたのだが、毎日腰の曲がったお婆さんが綺麗に掃き清め花を飾って拝んでいた。しばらくぶりにそこへ行ってみると、辺りは草ボウボウ、落ち葉で埋もれて、花一つ飾る人は居ない。8月7日は命日だからどなたか関係者の方でもお参りして花でも飾ってあるのかと思ったが、全くその気配もなく、周囲は落ち葉と草で覆われ、ほったらかしであった。あのお婆さんも既に他界され、この少女達を偲ぶ人も居なくなったのだろう。それから私は山登りを始める時、この像の前で毎日供養のお経をあげることにした。たった数十年の歳月でこんなにも忘れ去られ、顧みる人もないのかと思ったら何だか悲しくなった。
投稿者 zuiryo : 2017年08月09日 19:06