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2018年06月18日

仁義なき戦い

十数年前から隠寮の縁の下に住み着いていた黒猫が、愛犬ハチが死んでから、だんだん人に近づいてきた。何となく可哀そうに思いキャットフードを与えると、クロもそれを当てにするようなった。一端そのパターンで出来上がると,にわかに止めることができなくなった。さらに冬の木枯らしが吹きすさぶ季節などは、見るも哀れな姿につい情がわいてきて、廊下の片隅に段ボールを置いて、使い古しのタオルを敷いてやった。だんだんなついてきて、真っ黒な猫なので「クロ」と名前を付けた。月日が経つに従って険しかった人相?「猫相」も丸く穏やかになってきた。南廊下をクロの住処にしてやると、もうすっかり飼い猫になった。そのうわさが周辺に広がり、白黒まだら模様の幼い猫がどこからともなくやって来た。ついでだからと、「タマ」にも餌をやり、段ボールのベッドがもう一つ増えた。こうしてしばらく二匹体制が出来、後から来たタマは遠慮がちに隅っこにいた。やがて3年の歳月が流れ、クロがにわかに弱ってきた。老齢化である。やや認知症の兆候も見られ、この頃では餌もあまり食べなくなった。すると何と!今まで遠慮がちだったタマが俄かにえばり出して、クロに猫パンチを浴びせるようになった。地位が逆転したのだ。今までの住処を追い出されるようになったので、軒下に別にクロ用の寝床を作って避難させた。ついこの間までは部屋の隅っこで小さくなっていたタマが、親分に変身した。猫社会の「仁義なき戦い」である。

投稿者 zuiryo : 2018年06月18日 10:56

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