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2018年07月08日
巧言令色鮮し仁
言辞施(ごんじせ)と言う言葉がある。布施行の一つで、言葉をもって慰めることである。勿論口から出まかせのお世辞を言うこととは違う。率直な忠告よりも、巧言令色の方が有難いときがある。一方で良薬は口に苦しと言う言葉もあるが、苦ければ良薬というわけでもない。修行の途中幾度か断崖絶壁に佇む時がある。ここ十年くらいの間に、まったく対照的な道を選んだ二人の雲水がいる。一人は私に罵倒され、さっさと修行を捨てて帰って行った。もう一人は断崖絶壁を乗り越えて今なお修行を続けている。この二人の違いはどこにあるのかと言えば、その時信頼する良き師に巡り会っているかいないである。では良き師に巡り会えるか会えないかは、どこで決まるのかであるが、その雲水に仁徳があるかないかで決まる。雲水修行は真っ暗闇の中を手探りで、あっちにぶつかりこっちにぶつかりながら、傷だらけになって進んでゆくのである。他人ごとではない。私も嘗て、もうこれで修行はお仕舞かと言う絶壁に佇んだことがある。幸い仁徳がある善き先輩に巡り合い、その方の懐の深い優しさに触れて立ち直ったことがある。もう一つ大事なことは、身中に自分を守ってくれる神仏を持っているか否かである。ゆえに、縁なき衆生は度し難しということになる。
投稿者 zuiryo : 2018年07月08日 13:38