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2021年04月28日
遙か昔のこと
今日は朝からしとしと雨が降り続き、ソヨとも風も吹かず、物音ひとつせず、そんな部屋から向かいの山の木々をボ~ッと眺めていると、ふっと遙か昔のことを思い出した。僧堂雲水時代、矢鱈トゲトゲした男がいた。一事が万事しかも終日、周囲をそのトゲで刺しまくっていた。意気軒昂、鼻から熱い息を吹きあげ、ご本人はいたって満足のようだった。しかし周りのものは堪ったものでは無い。しかもそれを修行に絡め、ギャ~ギャ~喋りまくるから、益々手に負えぬ。だから彼の下でやる者は次々脱走していった。まっ、言い方は悪いが一種の精神病である。僧堂は上下の関係が徹底しているから、下位の者は黙って従うだけで、ひたすら耐え忍ぶことになる。確かに修行という点から見れば、彼は素晴らしい人と言う事になる。未熟者がスカタンをやってギャ~ギャ~言われるのは仕方の無いことではあるが、それがあまりにも激しすぎるのだ。身をもって指導してゆく、などという考えはみじんも無い。鵜の目鷹の目であら探しをして、めざとく見つければしてやったりと、朝から晩までギャ~ギャ~叱りっぱなしなのだ。これでは下の者は堪ったものでは無い。結果、脱走と為った。当時の師匠も同様だった。障子がビリビリ震えるぐらい仮名切り声を張り上げて、怒鳴りあげていた。あれから40数年が経った。今改めて振り返ると、修行とは言え何処か間違っていたと思う。一言も発せず黙々として教えてゆくこと、これが禅の教育だと思っている。
投稿者 zuiryo : 2021年04月28日 13:46