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2022年03月03日
書道の先生の葬儀
二十数年前、此の寺の住職になって間もなく、ある方から墨蹟を1枚お願いしますと言われた。それまでごく普通の寺の和尚だったので、人様から墨蹟を頼まれるなんぞという事はまったくなかったので、これには驚いた!ぼぼぼく蹟!!いや~、今までそんなもの書いたことがないので・・・・。と言うと、何でも良いですからお任せしますので是非1枚!と半ば強引に頼まれてしまった。困ったのなんのって!今まで雲水時代は老師の書いた墨蹟の印押しはやったことがあったが、何と今度はそれを自分が書く側になろうとは・・・!頭を抱えた!苦し紛れに、エエッイ!と殴り書きしたら、これが酷いの何んのって、とてもじゃないが他人様に差し上げられるようなものでは無い!それから七転八倒の苦しみが続き、これはきちんと書道の先生に付いて一から学ばなければ駄目だ!と解った。八方手を尽くして良い先生を探しまくったところ、何と直ぐ近くに高名な先生が居られることが解った。爾来二十数年間、大先生の下で書道を学んだ。現在は先生からは離れて、独自で書いているのだが、そのお世話になった大先生が九十余才で、大往生され,今日その葬儀に出かけた。先生の遺影をじ~っと見ていたら、遙か昔、徹底的に鍛えられた頃が思い出されて、思わず涙がこぼれた。
投稿者 zuiryo : 2022年03月03日 21:00