2023年03月21日
ふっと亡き人を想う
見ず知らずのこの寺に派遣されてきてからもう四十年経った。当時この寺の役員だった和尚さんに万事お世話して頂き、本当に有り難かった。もしこの和尚さんが居られなかったら私はとっくのとうに、押しつぶされて退山していただろう。ボツボツご恩返しをさせて貰わなければと想ったら、もうこの世には居ない。せめて私の命ある限り、僧堂を護って、若い雲水を育てて行くことが、万分の一のご恩返しになると思っている。人はこう言う尊いご厚情に支えられて、頑張れるのだ。この感謝を忘れたら、私の価値は無い。居室の窓越しに鬱蒼と茂る木々が微かに揺れている。ふっとこの和尚さんの顔が浮かんだ。
投稿者 zuiryo : 2023年03月21日 09:57