スペインのカタルーニャ地方のタラゴナでは二年に一度、各地区対抗の「人間の塔」大会が催される。闘牛場のグラウンドを使って行われ、スタンドでは大観衆が固唾を呑んで見つめるなか、各地区から選抜された揃いのユニフォーム姿の若者から、てっぺんに登る小さな女の子にいたるまで、文字通り人間が渦のごとく固まって九段も組み上げ、人間の塔を作り競うというものである。出来るだけ高く積み上げた方が勝ち、それが何と九段重ねなのだから、驚かされる。この競技で最も大切なのは団結力である。いわば町内対抗試合で、その結束力たるや半端じゃない。その様子を見ていてふと思ったのだが、日本にも嘗ては向こう三軒両隣、町内意識があったが、それも今では殆どなくなってしまった。隣は何をする人ぞである。スペインには二十一世紀になってもなお、この風習が厳然と残っているのに驚かされた。ところで、日本の江戸時代はどうだったのか興味を持ち、調べてみるとなかなか面白いので、ここにご紹介する。
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