道場では全体が厳しい規則によって統率されている。難しい法要儀式から果ては箸の上げ下ろし、下駄の脱ぎ方に至る迄、出処進退ことごとく規則ずくめである。その上、単(たん)と言って道場で修行する者は全員、階段状に順位が決められており、この序列に従って万事が行なわれる。順位は年令や学歴、出身など一切問わ
れず、入門順で決められる。一分一秒でも早く入った者ほど、先輩として上位になるわけである。
例えばちょっと休憩というような時でも各々座る位置から、お茶を配る順番に至まで総て是れ単順になる。
また東司(とうす・便所のこと)に入る場合でも、どの位置に入るかは自分の単順と見合わせて決めるのである。このように一
から十まで厳格な序列が出来ており、上下の差のはっきりしている所はちょっと外には見られないめずらしい世界だ。
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