さて大急ぎで法衣を付けると堂内に戻り袈裟を付け出頭(しゅっとう)の合図を待つ。起きてからこの間七、八分、裸電球がぽつんと付いているだけの薄暗いところで、素早くこれだけの事を済ませるのは慣れないとなかなか難しい。 新到の頃は寝保け眼の上、要領も悪くもたもたしていると、起き抜けに古参の者から無慈悲な罵声を浴びることになる。然し毎日繰り返され るこうしたきびきびとした動作の一つ一つが後のあらゆる場面で、成り切ってゆく修行者としての心構えを作ってゆく上に、欠くべからざるものなのである。こうした日々の訓練を通じて雲水らしい所作が自然に身に付いてくるのである。
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