朝の勤行が済むと通常なら粥座、坐禅と続くわけだが、托鉢の時は坐禅が省略されて直ちに出立の準備にかかる。これは私の修行した道場が極めて辺鄙なところにあったため、町中の僧堂と違って目的地に到着するのに一時間以上も歩かなければならないという事情による。
大抵三人ひと組みで出掛ける。引き手さんはベテランの者がなるので、あとはその指示に従って全て行動することになっている。大体托鉢に三時間くらい要するので、途中休憩を入れても
十時過ぎには終わる。そこであらかじめ依頼しておいた点心先へ行き、諷経の後お昼ご飯の接待を受ける。田舎叢林では行き帰りに時間が掛かるため、どうしても信者さんのこうした供養
を受けなければやっていけない。 |
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