今年の二月、十五人程で印度の仏蹟巡拝旅行に出掛けた。ニューデリーより入り、スラパスティーの祗園精舎、ルンビニーの誕生の地、クシナガラの涅槃堂、サルナートの初転法輪の地、ブッダガヤの成道の地、ラジギールの霊鷲(りょうじゅせん)と今回は六大聖地を巡った。
聖地の殆どが北印度の大変辺鄙な処にあるので、大半はバスに頼る他なく、道路事情も悪い上、長時間に渡るため、旅行としてはかなり厳しいものになった。しかし二千五百年もの時を隔てながらも、釈尊が居られた同じ場所に立てるということは仏教徒として何にも代えがたい感激であった。
無事各聖地へのお参りを済ませ空路カルカッタへ移動した。人口千二百万という大都市である。″カルカッタを見ずして印度を語る勿れ″と言われるほど、印度の良いところと悪いところが全て集約されてあるのだそうだ。カルカッタの空港に到着したのが午後六時半。バスに乗り継ぐと薄暗い道路を走り三十分程で市街に入った。まず驚いたことと言えば広い道路を埋め尽くさんばかりの車の数である。信号など有って無きが如しで、交差
点では我先にとあらゆる方角から車が突っ込んでくる。 |