もしあなたが一メートル幅の道路を真っすぐ踏み外さずに歩けますかと問い掛けられたら、何と答えるだろうか。大抵の人はそんなことは簡単、誰だって出来ると言うだろう。しかしその道が三十メートルの高さにあり、両側は千尋の谷と聞いたらどうだろうか。途端に、「そんな道はとても歩けない。危険極まりない。」と言うだろう。この両者の考え方の違いは一体どこから生ずるのだろうか。それは三十メートルもの高さや、切り立った
崖の危険なイメージが先にたち、後からそのイメージにかぶせて真っすぐな道を思い浮べるからである。幅一メートルの道という基本的な条件は地上にあっても三十メートルの高さにあっても何ら変わらないのだが、イメージとしては全く違ったものになってしまうのである。
|