それからというものは一転して見るもの聞くもの悉く感動の毎日となった。何とかこの気持ちを人に伝えたいと考え、詩を作りエッセイを書き、ついには小説まで執筆するようになったというのである。 私は何と素晴らしい人かと思った。苛酷な労働と世間の冷ややかな眼にも挫けることなく、何十年間も其実の心を追い求めて止まなかった彼女の純心さは、決して泥にまみれることはなかったのだ。当に彼女は般若の知慧を得た人に相違ない。