その頃のことを今でも懐かしく思い出す。天下の大老師、なんの尼主一人ぐらいに 気兼ねの要るものか。それをいちいち覗かせにやってまでして、出すの出さんのと笑止千万である。しかし私はこれを法を知る者は懼る″ということだと感じた。つまり法の前にはなん人といえども一介の小僧なのである。修行の尊厳さを本当に知るものにして初めてこのように振る舞えるのだ。老師の持つ修行の世界を今垣間見る思いである。